字書き表紙デザイン経過備忘録
表紙のデザインが苦手です。めっちゃ苦手!そもそも絵が描けない上にphotoshopは良く分からん機能がいっぱいだなぁと思いながら地道に課金をして使い続けて何年だ……最早二桁年に突入しているのではあるまいか?という文字書きですが、未だに毎回右往左往してしまう。そんな訳で、数ヶ月ぶりに同人誌を作るにあたり、表紙を作った時の経過をまとめておけば次に作る時に考えるヒントになるかもしれないと思い立ち、経過をまとめてみました。
具体的な操作の仕方というよりも、どのように考えて作っていったかという思考の経過が主な内容です。
利用ソフト:Photoshop CC
1.今回作る本
・二次創作BLカップリング短歌集(手直し再録)
・花にまつわる短歌が多め
・海と空が題材の短歌もある
・SS名刺メーカーさんのうたの短冊メーカーで短歌と写真画像を組み合わせたものをツイッターに投稿したまとめ再録本なので、写真も本文に入れたい
・タイトルは「花謡集」(かようしゅう)
2.表紙作りの構成要素
普段は小説本を出しているのですが、短歌の同人誌を作るのは初めてです。短歌集なら両手に収まる文庫本が良いだろうということで、A6サイズ(文庫サイズ)に。利用したい印刷所が標準でカバーと帯が付いているのでカラーカバー、帯付きを作成することに決めました。表紙作りと銘打ちましたが、まずは一番最初に目に入るカラーカバーになる部分の作成ということになります。
・カップリングのイメージは「海に到る」※あくまで個人の見解です
・花の歌が多いので花を押し出した方が良さそう?
・再録集なので小さな積み重ねをまとめたものという印象が欲しい→結晶のイメージへ
<カバーに載せる文字要素>
・タイトル
・二次創作カップリング名
・短歌集であること
3.カバー表紙を作る(案その1)
上記の要素をまとめて作成したカバー表紙案その1はこちら。
全体的にうるさい!!タイトルが読みにくい!!!
ちなみに、メインタイトルの文字デザインはこの「同人誌デザインチュートリアル」さんにお世話になりました。商用不可ですが、BOOTHでタイトルデザイン素材を販売されていらっしゃいます。メインタイトルは「刻明朝」にダウンロードしましたニョロッとした素材や草っぽい素材などを組み合わせています。
結晶の形は正六角形に近いものだと面白味が無いなぁと感じて左右対象でない形にしました。何か良いアイデアはないものかと覗いていたCanonさんの「おうちで作る同人誌」の表紙テンプレート、「タイトルだけ伝えたいノート風」の形をお借りしています。
花の写真は自分で近所の公園で撮った写真をPS Exspressというphotoshop のスマホ用画像編集アプリで適当にキラキラさせました。
この時点でいつもデザインを頼んだり、デザインなどで困ると泣きつく友人にどうよこれーーーー???と画像を送りつけてアドバイスを求めました。
<もらったアドバイス>
・タイトルは読みにくいので、文字を枠の外に出してみるのはどうか。
・画面の要素のバランスが同等でとっ散らかって見える。
・海か花のどちらかをもっと引き算した方が良い。
・海のイメージのグラデを作るか、花の結晶を形だけ残して少し花を散らすだけもありだと思う(文字デザインが既に花の要素が強い)
・散らすというのはバランスなので、中にある話の数だけ小さい花を用意してみるなどはどうか→YOU NICE HEAD!!!!ってなった。
4.カバー表紙を作る(案その2)
アドバイスを元に第二案を作成した結果が以下です。
色んな要素を諦めたら、一気に落ち着いた。
だいたいグラデ!!!!グラデはいいよね!!!※便箋ではない
綺麗なグラデーションはレイヤーを何枚か重ねると良いと以前別の本を作った時に同じ友人に教えてもらってからは苦手具合が少し軽減された。とはいえ、グラデづくり難しい。
<変更点>
・夕焼け色の海と空→同系色のグラデ
・花の写真→緑色だけ残してグラデで結晶っぽさを増やす
・花を散らす→散ってない
ここまでやって改めて「散らすとは!?」となるものの、小さい小花が良いと思うよと言われたので、何とか小さい花をどうにかするしかない(課題)
しかし、「散らす」って難しいですよね。「この辺りに星が散ってるといい気がするなぁ。散らねぇなぁ」っていうことを繰り返して来た同人人生ですよ。
5.帯を作る
今回お願いする印刷所は帯が標準で付けられる印刷所だったので、帯を付けます。表紙に花を散らすことを諦めつつあったので、ここで帯に花を散らせばいいのではと思いつきます。
とはいえ、やっぱり散らすってわからーん!
そこで、散らすのを諦めて、帯なら花柄模様を背景のようにしてもいけるのではないかと考えました。帯用紙をトレーシングペーパーを利用することにしたので、少し透けるであろう予想図になりますが、作ってみた帯はこちら。
花の素材を散らしまくるという実にアナログな作業!雰囲気は悪くない気がするけど、いまいち!
という訳で、花柄の素材を探した方が無難なのではと思って探してきたものを貼り付けたのがこちら。
散ってるというか密集してるけど、こっちの方が良さそう!
ちなみにこの花柄は色を変えて、春夏秋冬に並べた短歌の季節ごとのページに挟み込んで季節の区切りを出すために本文にも使うことにしました。
6.本体の表紙を作る
外側のカバーと帯がだいたい決まったところで、カバー下の本体の表紙を作ります。市販の文庫本らしさを感じるものにしたかったので、枠を使ったものにしました。中表紙と共通デザインです。
まずモノクロ、グレースケールで作成した中表紙はこちら。
枠デザインは同人誌デザインチュートリアル様のダウンロード素材の枠に、四隅の内側に葉っぱのようなデザインを付け足したものです。
表紙用紙は市販の文庫本感を出すために、色上質紙(特厚)にすることにしました。色は悩みましたが、明るめの黄色のレモンにしてみることにします。
問題の本体表紙ですが、こちらもカラー印刷が可能なので、黒で印刷する必要は無いことに気づきました。しかし、あまり派手にしたい訳では無い。
そこで、枠の色を濃い紺色にしてみることにします。
比べてみないと分からない程度ですが、紺色だと上品さもあっていいのでは無いでしょうか?たぶん。
ちなみに、紙色のイメージに載せるとこんな感じ。
市販の文庫本ぽさがあるー!(自画自賛)
紙色があると表紙感が出ていいですね。あくまでイメージなので、実際の印刷とは少々変わることが予想されますが、一度紙色に乗せてみるとイメージが湧いて良いですね。
ここで再び「そうだ、今回はカバーがあるけど表紙もカラー印刷可能なんだった!」ということに改めて気づきます。つまり、花を散らすのは外側のカバーでは無くカバー下の表紙にでも良いのではあるまいか?ということに気付いたのです。
そう考えて、枠の下に桜の花吹雪の素材を重ねてみましたのがこちら。
散ったー!
ついに、花が散った!!!!
ありがとう桜の花吹雪素材!
便利な世の中になりました。という訳でこのような本体表紙にすることが決定しました。
7.表4(裏表紙部分)を作る
カバーにも本体表紙にも裏表紙が必要です。普段載せている情報は発行日やサークル名、本の内容(◯◯二次創作など)です。
今回、表1(表紙部分)にジャンルとカップリング名は載せていますので、何を入れようかなと悩みました。
以前、オリジナルBL本を文庫サイズで作った時に、「飛上文庫」というサークル名を使った架空の文庫レーベルぽいものを入れたことを思い出したので入れることにします。
<裏表紙の文字要素>
・本の発行日
・文庫名
以上の要素を使って裏表紙部分のカバーを作ります。
結晶をイメージした六角形の中に文庫名、本の発行日を入れました。
六角形のレイヤーを2枚コピーして、コピーした六角形をそれぞれ左右上下に少しずつずらしただけという、大変雑な六角形×3の枠ができました。
また、六角形だけでは寂しい気もしたので、英語で短歌集の説明を追加しています。英語が合っているのは深く考えないことにしますが、英文を入れると何となく空間が何とかなる気がします(テキトーな理論)。
本体の表4(裏表紙)はカバーのデザインと同様にすることにしました。色だけ紺色に変えています。
8.背表紙を作る
本のページ数が決まったら背幅を計算します。それぞれの印刷所に計算するための情報があると思いますので、それに則った形で計算します。
本体、カバー、帯と紙が重なるにつれて少しずつ幅が広くなりますのでその点は注意が必要です。テンプレートがあればそれに載せるのが一番安心ですね。
<背表紙に入れる文字>
・書名
・作者名
・文庫名
以上を背幅に合わせて入れます。
9.完成
あとは、データを統合すれば完成です!
カバー:マットコート(ユーライト)110kg+マットPP
帯:トレーシングペーパー(白)
※表4(裏表紙部分)には、春夏秋冬の短歌の抜粋と「花と季節を巡る短歌 五十二首+短文三編」という説明文を入れています。
本体表紙:上質紙(レモン)
※実際の入稿データは紙色のイメージ部分以外の入稿
以上で、カバー、表紙、帯のデータが出来上がりました!
中身が無いと本はできないものの、外側も作ると楽しいよね!という心意気で作ってみた一冊です。
でもまあ、同人誌の表紙なんてタイトルさえあればいいんですよ!という気持ちも勿論あります。それはそれとして、立体物を作成するという楽しみが少しでも味わえればいいなと改めて感じる表紙作りでした。
実際の印刷状況などによりデータからの印象とは変わってしまったー!となることもありますが、そのあたりのことは実際印刷したらどうだった?という印象をまとめてみたいところです。